接吻ーkissー
「就活ノイローゼの男だった」

由良が言った。

「中学2年生の冬だった。

塾の帰りに…その男に捕まって、そのまま誰もいない公園に連れて行かれた…」

やめて!

できることなら、由良にそう言いたかった。

話をしようとする由良を止めたかった。

けど、唇は動かない。

それどころか、躰も石にされたみたいに動かなかった。

「怖かった…。

抵抗したら、殴られた…。

何度も何度も、感覚がなくなってしまうんじゃないかって言うくらいに殴られた…。

このまま死んじゃうんじゃないかって言うくらいに、何度も殴られた…」
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