接吻ーkissー
そう話している由良の声が震えている。

お願い、もうやめて…!

心で言ったって仕方がないだけだ。

でも唇は、簡単に動くことができない。

動かすことも、できない。

「幸い、それは未遂で終わった…。

ちょうど近くを通りかかったサラリーマンの人が助けてくれたおかげで、未遂で済んだ。

でも殴られて、躰中をさわられて、口に布切れをつめこまれて…それ以来、男の人が怖くなった。

先生でも、同級生でも、みんな怖かった…。

ちょっと声をかけられただけでも、襲われたことがよみがえってきて…」
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