接吻ーkissー
「――もう、やめて…」

やっと出てきた声は、蚊でも鳴いているのかと思うくらいの小さな声だった。

「高校は、今の学校を選んだ。

女子校だし、そのうえ男の人なんていないじゃない。

それに、璃音にも会えたから」

いつの間にか、由良の顔は目の前にあった。

「――由、良…?」

名前を呼んだ私に、由良が笑った。

「璃音もわかっているとは思うけど…わたしね、璃音が好きなの。

親友としてじゃない、それ以上に。

つまり…恋愛、早い話が恋人として」

由良の顔が近づいてきた。
< 119 / 238 >

この作品をシェア

pagetop