接吻ーkissー
それは、夏のことだった。

夏休みを目の前にひかえた昼休みでの出来事だった。

「暑いね」

「うん、暑いね」

立ち入り禁止の屋上で、由良と2人で昼休みを過ごしていた。

日陰でぼんやりとしながら綿菓子のような入道雲を眺めていたら、
「璃音」

由良が私の名前を呼んだ。

「何?」

呼ばれた私が返事をしたとたん、由良は突然真剣な顔になった。

「――わたしのこと、好き?」

彼女の唇から、そんな言葉が発せられた。

好きって、私が由良のことを?
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