接吻ーkissー
鋭くて冷たい由良の視線とぶつかった。

「わたしを見てよ…。

彼氏じゃなくて、わたしを見てよ…。

わたしを思ってよ…」

由良の唇から出てくるその言葉に、私は恐怖を感じた。

恐怖のあまり、ガタガタと躰が震える。

このまま、崩れ落ちてしまいそうなくらいだ。

躰が震えているせいで、言葉も何も出てこない。

大事な親友として、思ってるよ。

由良は、大事な私の親友だよ。

そう言って由良に伝えたいのに、唇は震えるばかりで何も出てこない。

「璃音…!」

「――いやっ…!」
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