接吻ーkissー
耳障りな音が聞こえたと思ったら、冷たい空気を肌で感じた。

はだけた胸に、今の状況を思い知らされる。

由良の顔が私に向かって近づいてくる。

「――やめてーっ…!」

私が叫んだ時には、もう遅かった。

首筋に触れた唇が気持ち悪い。

ガリッと、そこに強く歯を立てられる。

痛い…!

気持ち悪い…!

助けて、竜之さん…!

涙が私の頬を伝った。

短い…いや、長かった。

唇が離れたのと同時に、膝にコンクリートの冷たさを感じた。
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