接吻ーkissー
これしか思いつかなかった。

首筋の歯型を隠すためには、他に方法がなかった。

歯型はだいぶ見えなくなってきたものの、やっぱり目立ってしまうことには変わりはない。

「そろそろ行くか?」

「はい」

竜之さんと一緒にバーを後にした。


大通りでタクシーを拾って、会場である『東京カントリーホテル』に向かうこと30分。

「――うわあっ…」

タクシーを下りた私たちを待っていたものは、一流ホテルのすごさだった。

「こりゃ、まさに“セレブご用達”って感じだな」

竜之さんが呟いた。
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