接吻ーkissー
よっぽど磨かれているのか、ライトに照らされてキラキラと輝いていた。

「じゃ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」

竜之さんがステージへと足を向かわせた。

彼の後ろ姿を見送っていたら、
「お座りくださいませ」

ベルボーイが近くのテーブルの椅子を引いていた。

「あ、はい」

私は返事をすると、椅子に腰を下ろした。

ステージの方にいる竜之さんへと視線を向けた。

「あれ?」

ステージに彼の姿はなかった。

確か、ステージの方に向かったはずなのに。

そう思った時、会場が暗くなった。
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