接吻ーkissー
「――んあっ…!」

ねじ込まれたと言った方が、もう正解かも知れない。

竜之さんを全部受け入れたのだから…。

「キツいな…。

まあ、今に始まったことじゃねーけど…」

そう言って笑った竜之さんだったけど、その顔にはもうすでに余裕がない。

私はもうすでに余裕がなくて、そんな彼を受け入れるのが精いっぱいだ。

「――竜之さん…」

もうほとんど遠くなりかけている意識の中、私は彼の名前を呼んだ。

「――好き…」

呟いたように言ったその言葉は、もう無意識と言っても過言ではなかった。

でも、ウソでもなければ偽りでもない。
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