接吻ーkissー
ドクン…

竜之さんの口から告げられた話に、私の心臓は変な音を立てた。

一瞬、嫌な予感がしたのは…私の気のせいであって欲しい。

「――何ですか?」

できるだけ平静を装いながら、私は竜之さんに尋ねた。

「海外へ行くかも知れないんだ」

そう言った竜之さんに、
「――旅行、ですか…?」

私は聞き返した。

たぶん、違うと思う。

旅行とか、そんなお気楽なものじゃないと思う。

どうしてなのかはわからないけど、何だかそんな気がした。

「スカウトされたんだ」
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