接吻ーkissー
シンさんの言う通り、確かに空気も空気だ。

一言で言うならば、すごく重たかった。

確かに、外へ逃げたくなる気持ちがよくわかった。

でも、今は逃げている場合じゃない。

「オレンジジュースでいい?」

そう聞いてきたシンさんに、私は首を横に振った。

「竜之さんのところに行っても、いいですか?」

そう言った私に、
「いや、ダメでしょ。

菊地さんの邪魔をしたら」

シンさんが慌てて言った。

いきなりこんなことを言ったから、シンさんが慌てるのも当然だ。

でも、
「邪魔はしません。

ここよりも近い場所で竜之さんを待つだけですから」

私は言った。
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