接吻ーkissー
お兄さん、ありがとう。

タイミングよくやってきた天の助けに、心の底から感謝をした。

「じゃ、テキトーに座って大人しく待ってろよ」

ポンと私の頭をたたいた後、菊地さんは奥の方へと消えて行った。

「…はあ、助かった」

そう呟いた私に、
「璃音ちゃん、ごめんね。

菊地さんはどうもSっ気が多いらしくって」

お兄さんが謝った。

「はあ…」

Sっ気が多い…。

何となく、そうかなと思っていた。

「そこにつっ立っていても足が痛いでしょ?

椅子に座っていいよ」

「…ありがとうございます」

私はカウンターの椅子に腰を下ろした。
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