接吻ーkissー
「シン、いつもの」

「はいはい」

このお兄さん、“シン”って言う名前だったんだ。

「草かんむりに心って言う字で、“芯”って言うんだよ」

「えっ…あっ、そうなんですか」

今、私の頭の中を読んだ?

「どうぞ」

菊地さんの前に差し出されたのは、薄い赤色のカクテルだった。

彼はそれを1口飲んだ後、息をついた。

「あ、そうだ」

思い出したように菊地さんはポケットから何かを出すと、私に差し出してきた。

チケットだった。

「えっと…」
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