接吻ーkissー
それでも私が遅れたことには変わりはない。

「今日は、いいとこのお嬢ちゃんってイメージか」

「えっ…」

ああ、服のことか。

いいとこのお嬢ちゃん…それは、褒め言葉として解釈してもいいんですか?

そう聞こうとしたら、
「ほら、行くぞ」

菊地さんが椅子から腰をあげていた。

「は、はい」

私は菊地さんの横に並ぶと、一緒にバーを後にした。


バーから歩いて15分、会場は大きな市民ホールだった。

「――すっごーい…」

客席は階段のようになっていた。
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