接吻ーkissー
「ここがリビングだ」

「――うわあ…」

モデルルームみたいだと、私は思った。

広いリビングには薄型のテレビと黒いソファー、テレビとソファーの間にはガラスのテーブルが置いてあった。

キッチンはカウンター式である。

…あれ?

肝心のピアノがここにないことに気づいた。

「ああ、ピアノならこっち」

そう言って菊地さんはリビングを出て行くと、違う部屋のドアを開けた。

4畳ほどの小さな部屋に置かれていたのは、電子ピアノだった。

さすがにグランドピアノは大きいから置けないもんね。
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