接吻ーkissー
「この部屋は防音の設備が整ってるから、何時間弾いても近所迷惑にならないんだ」

得意げな顔で菊地さんが言った。

「隣は来客用の部屋で、もう1つ隣は寝室。

向かいの部屋2つはトイレと風呂」

菊地さんはピアノの部屋のドアを閉めた。

「ソファーに座って、テレビ見ながらテキトーにくつろいでてくれ。

何か飲み物持ってくるから」

「はい」

私が返事をしたことを確認すると、菊地さんがキッチンへと足を向かわせた。

テキトーって…ずいぶん、いい加減だな。

でもつっ立っているのも疲れるだけなので、ソファーに腰を下ろした。
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