接吻ーkissー
何気にベランダの方に視線を向けると、
「――あっ」

そこに広がっていたのは、夜景だった。

ビルの灯りや走っている車、家の灯りなど光の種類はいろいろだ。

まるで、空からいろいろな色の宝石をバラまいたみたいだ。

その光景をもっとよく見たくて、私は大きな窓へと歩み寄った。

「――わあ…」

何だか、映画を見ているみたいだ。

「そんなに珍しいか?」

その声に視線を向けると、菊地さんがいつの間にか私の後ろに立っていた。

「そりゃ、珍しいですよ」

私もマンションに住んでいると言えば住んでいるけど、5階だもん。
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