接吻ーkissー
夜景なんて、そんな大層なものが見える訳ないじゃん。

私は心の中で呟いた。

「――キレイ…」

そう呟いた時、後ろから腕が伸びてきた。

…えっ?

驚いて振り返ると、すごく近い距離に菊地さんの顔があった。

「――えっ、なっ…!」

あまりにも近い距離に、私は戸惑った。

何で!?

じゃあ…この腕は、菊地さんのなの!?

私、菊地さんに抱きしめられているの!?

いや、さっきキスした時だって抱きしめてもらって…って、今は状況が違う!

今は後ろから抱きしめられているの!

「あーも、マジで我慢できないや」

困ったと言うような言い方をしたと思ったら、菊地さんは私の肩に顎を乗せた。
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