接吻ーkissー
「――いえ…」

私は首を横に振った。

それ以上のおもてなしはもういいって感じだ。

「女子高生から金をぼったくるほど、俺は悪人じゃない。

今日初めて披露する曲だから聞いて欲しいだけみたいな、そんな感じだよ」

ぼったくられるほど、お金なんか持ってきてないんですけど。

そう言い返そうかと思ったけど、やめた。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

「ん、少し待ってろ」

彼がカウンターを出た。

「そう言えば…」

思い出したと言うように、彼が言った。
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