接吻ーkissー
「――欲しいのか?」

菊地さんが胸から顔をあげた。

「――えっ、えーっと…」

…欲しいって、何のことですか?

よくわからないんですけど…。

躰は菊地さんを求めて、欲していたことは事実だけど…。

「――あの…だから、そんなつもりじゃなくて…」

言えば言うほど、何だか話がややこしくなって行っているような気がする。

と言うよりも、危ない方向へと話が進んでないか?

いや、今の私たちのこの状況も危ないと言えば危ない訳で…。

「璃音」

「――はい…」

私が返事をすると、菊地さんはイジワルそうにニヤリと笑った。
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