シンデレラルーム 702号室
俺はデリバリーヘルスを経営しているのだが、ここで働く女のほとんどは俺自身が連れてきた。


身寄りがなかったり、金に困っている女を探して声を掛け、本人の同意のもと働かせている。



仕事内容は決して楽でも誇れるモンでもないし、善人振るつもりもさらさらないが

彼女達が少しでも希望を持てるようにしてやりたいと思って始めたことだ。



困っている人(女に限る)を見るとなんとかしてやりたくなる、一種のボランティア精神のようなものが、この俺にもあったらしい。



あの日も、俺は用事があって街に出たついでに、そんな女がいないかと何気なく観察していた。


すると、雨が降っているにも関わらず、傘をさしてじっとベンチに座っている女が目に留まった。


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