シンデレラルーム 702号室
「俺にしとけば苦労はしねぇのに…お前もバカだな」
そんな本音を漏らしつつ、詩織の指通りのいい髪を優しく撫でた。
フローラルと肌の匂いに酔いしれ、白く柔らかな首筋に口づける。
俺達が触れ合うのは、これが最後──…
「こんなとこで泣いてないで、さっさと馬鹿な旦那のところへ帰れ」
相変わらずぶっきらぼうな言葉。
…だが、笑顔で言ってやれた。
「ま…雅秋さ…っ…!」
愛しい詩織は、俺の腕の中で何度も“ごめんね”と“ありがとう”を繰り返しながら
子供のように泣きじゃくっていた。
詩織は俺に“好き”だとか、愛を匂わせるようなことは決して言わなかった。
それはきっと、俺に期待させないための些細な思いやりだったんだろう。
そんな本音を漏らしつつ、詩織の指通りのいい髪を優しく撫でた。
フローラルと肌の匂いに酔いしれ、白く柔らかな首筋に口づける。
俺達が触れ合うのは、これが最後──…
「こんなとこで泣いてないで、さっさと馬鹿な旦那のところへ帰れ」
相変わらずぶっきらぼうな言葉。
…だが、笑顔で言ってやれた。
「ま…雅秋さ…っ…!」
愛しい詩織は、俺の腕の中で何度も“ごめんね”と“ありがとう”を繰り返しながら
子供のように泣きじゃくっていた。
詩織は俺に“好き”だとか、愛を匂わせるようなことは決して言わなかった。
それはきっと、俺に期待させないための些細な思いやりだったんだろう。