シンデレラルーム 702号室
でも、お前がこんなに涙を流すのは、俺のことを少しは想ってくれていたからだろう?


それだけで、俺は十分だ。



「俺は誰よりもお前を愛してたよ……詩織」



もう二度と言うことはない、最初で最後の告白。


こんなこと言うのは柄じゃないが、最後に伝えておきたかったんだ。



「ありがとう……雅秋さん」


詩織は泣きながらも、今までで一番綺麗な笑顔を見せた。



さようなら、詩織。


どうか幸せになって

もう二度と、俺の前に現れなくて済むように──



そう願いを込めつつ、俺は詩織と別れた。




外へ出ると、いつの間にか雨はあがっていて

澄んだ青空が、雲間から眩しい太陽と共に顔を覗かせていた。




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