シンデレラルーム 702号室
「するワケないでしょ。俺は莉子以外に興味ないですから」


デスクに軽く腰掛け、クスッと笑いながらコーヒーを飲む、余裕たっぷりなその様子。


そんな楓を少しからかってみたくなり、


「莉子が他の男にうつつをぬかしたりしたらどうするんだ?」


と意地悪なことを言ってみる。



すると、楓はこれまた簡単な質問だと言うように


「その時はもう二度と離れられないように、もっと深く愛してやりますよ」


と、歯の浮くような文句をさらっと言ってのけた。



「聞いた俺がバカだったよ…」


女と別れた直後に他人の惚気は聞くモンじゃねぇな……。


< 129 / 192 >

この作品をシェア

pagetop