シンデレラルーム 702号室

「あたし、メンタルヘルスの資格を取ろうと思うの」


「……え?」



それは約半年前。


お手製のだし巻き卵を作っている最中に突拍子もなくそう言ってきたもんだから、
俺は危うく卵を焦がしそうになって慌てて火を止めた。



「どうした?急に資格だなんて……」


正直驚いた。

今まで莉子が意欲的に何かをすることはなかったような気がしたから。

しかもメンタルヘルスって……



「なんていうか…何もないじゃない?あたしって」


「?」


「夢中になれる趣味があるわけでもないし、料理が上手な楓みたいに何か特技があるわけでもない。

しかも今は仕事もしてないし…なーんにもないでしょ?」


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