シンデレラルーム 702号室
様々な人の悩みを聞いているうちに、自分の心の傷を抉(えぐ)られるような時だってあるかもしれない。


だから少し心配で……


「…辛くないのか?」


そう聞かずにはいられなかった。



それでも莉子は笑顔で頷く。


「あたしが経験したことを役に立てたくて考えたことなの。

昔のあたしと同じように悩んでる人がいたら、少しでも力になれるかもって思って」



そう話す莉子の表情はとても生き生きしていた。


莉子は莉子なりにちゃんと考えてるんだな…。

だったら俺には反対する余地なんてないんだろう。



「…わかった、莉子の思うようにしたらいいよ。俺も応援する」


俺の言葉に、莉子は安心したように柔らかく微笑んだ。



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