シンデレラルーム 702号室
“ユメちゃん”
それはこの世に誕生出来ずに、莉子のお腹の中で静かに息絶えてしまった命に、
“夢のような一時をくれたから”と莉子が付けた呼び名だった。
『せっかく生きていたのに名前もないなんて可哀想だよ』…と言って。
「怒ってるって…何で?」
「…もう一年以上経つけど…赤ちゃん出来ないでしょ?」
──そう、
“ユメちゃん”がいなくなって以来、俺はあえて避妊していない。
莉子が子供を欲しいと願っているから、自然に授かればと思ってる……のだが。
最初の妊娠に比べると、二回目はなかなか出来なくて莉子は少し不安を感じてるようだ。
それはこの世に誕生出来ずに、莉子のお腹の中で静かに息絶えてしまった命に、
“夢のような一時をくれたから”と莉子が付けた呼び名だった。
『せっかく生きていたのに名前もないなんて可哀想だよ』…と言って。
「怒ってるって…何で?」
「…もう一年以上経つけど…赤ちゃん出来ないでしょ?」
──そう、
“ユメちゃん”がいなくなって以来、俺はあえて避妊していない。
莉子が子供を欲しいと願っているから、自然に授かればと思ってる……のだが。
最初の妊娠に比べると、二回目はなかなか出来なくて莉子は少し不安を感じてるようだ。