シンデレラルーム 702号室
「きっと生きたかったんだよ。それなのに産んであげられなくて……

そんなあたしを、まだ許してくれてないんじゃないかって…どうしても思っちゃうんだ」


「莉子……」



莉子の気持ちは痛いほど伝わってくる。


一人の人間の命を身籠った彼女にしか分からない、苦しくて辛い想いがあるのだろう。

どうしても自分を責めてしまう気持ちも分かる。


だけど──…



「莉子は肝心なことに気付いてないよ」


「肝心な…こと?」



“よく意味が分からない”というような顔をする莉子の背中に手を回して、ゆっくり上体を起き上がらせた。


向き合って座り、莉子の頬を両手で包み込む。


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