シンデレラルーム 702号室
「俺達の大事な大事なユメちゃんが、たった一人の母親を悲しませるようなことすると思う?」


莉子が少し目を見開く。



「莉子がこんなに愛してるのに、ユメちゃんが幸せに想わないはずないだろ」


「………」


「子供が出来ないことをあの子のせいにしたら、それこそ可哀想だ」



俺の言葉に、莉子はまた涙で瞳を揺らして俯いた。


しばらく黙り込んで、自分の気持ちを整理しているように見える。


俺はただ莉子の頭を優しく撫でながら、彼女の言葉を待った。



「……うん、そうだよね…」


しばらくして、莉子は涙を軽く拭うと納得したように頷いて言った。


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