あやとり

「え?」

「えって、え?」

まさか、まだ言ってなかった?

「悠斗、東京に行くの?」

優ちゃんの口から出た名前。

ハルト?

ああ、そうだ。

彼の名は『甲斐悠斗』だった。

ハルトって呼んでいるんだ。

「そう聞いてる」

まだ、言ってなかったんだ。

ほんとうに別れていたってこと?

「へえ……」

約束を破ってしまった。

でも、もう二学期も数日で終わるというのに、まだ話してないなんて思わなかった。


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