あやとり
二学期の終業式の朝、担任が甲斐君の転校の話をした。
名前を呼ばれ、先生の隣に立った甲斐君は少し背が伸びたのか、大人びて見えた。
私は鼻がつーんと来るのを必死で堪えた。
どうしても目頭が熱くなってしまう。
三学期には彼がこの教室に存在しないことを思うと、何かに千切られるような気持ちになっていた。
優ちゃんの涙を見たからなのか、それとも文化祭での彼とのひと時が、心になんだかの変化をもたらしたのか分からないけれど、甲斐君と会えなくなることに必死に抵抗したがっている自分を認めざるを得なかった。