あやとり

千春とは同じクラスの中では割と一緒に居るほうだけれど、親友というわけでもない。

 私は高校一年のときからアルバイトをしていたため、学校生活以外での友達との付き合いは、ほとんどないと言ってもいいくらい少ない。

歳の離れた姉がいるせいか、子供の頃の入院生活で本を読み過ぎてしまったせいか、人より大人びてしまったのかもしれないと思うけれど、それにしたって同級生たちの幼さにはついていけない。

クラスの男子なんか、もってのほかだ。

なんて幼いのだろう。

それでも中には真剣に将来の夢を持っている人がいるみたいだけど、夢っていうものはベラベラ語っている人ほど、真剣みが感じられないから不思議だ。

心の中ではそんなことを考えながら、クラスの中では八方美人に徹している私も直哉にだけは幼いと思われているのを自分でも感じている。

だからこそ、彼にだけはわがままな猫のように振舞えるのかもしれない。


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