あやとり

「お互いが向き合って、互いの心の糸を掬い合って、その時にしか出来ない形があって、その時に想いを重ねて、永遠にしたい」

「……」

「ユウが言うんだ。ずっと一緒にいることで、今の想いが永遠じゃなくなってしまうんだって」

甲斐君は切なげに自分を諭すように言った。

「永遠じゃなくなる……」

「だから今は仕方ない」

「よくわかんない」

甲斐君の言うことがよくわからない。

優ちゃんがよくわからない。

「形を崩さないで置くと、守ろうという気持ちのまま動いて、形が壊れるとともに糸が絡まって解けなくなる。その先に純粋な想いはなくなるって」



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