あやとり
甲斐君に優ちゃんを捕られたくない。
甲斐君を優ちゃんだけのものにしたくない。
「いつ、引っ越すの?」
「二十七日」
「ほんとう、もうすぐなんだね」
「ああ」
「優ちゃんには?」
「……どうしようかな。もう知っているんだから、俺からまた言うのもな」
「こっちに戻ってくることある?」
彼はふっと笑い、歩き出した。
「祖父ちゃんたちがいるから、連休とかはこっちに居ることもあるよ」
月日が流れていっても、私と彼は同級生だ。
同い年のままでいられる。この先もずっと。
でも優ちゃんと甲斐君は、流れの中で変わっていくだろうし、崩れていく。
絶対に。
十三もの歳の差は、永遠に埋められないはず。
十七歳の彼にとって三十歳の女性は五年後、どう映る?
絶対無理に決まっている。