あやとり
母の病室に向かって廊下を歩いていると、小さめのポットを持って、給湯室に向かう優ちゃんの姿を見掛けた。
すらっと縦に長く線の細いシルエット。
背筋はしゃんと伸びて、長い足が品良く交互に前へ出されていく。
同じ親から生まれてきたのに、どうしてこうも私たち姉妹の姿は違うのだろう。
俯くとスカートの下に見える、大きな膝と、細いとは決して言えない自分のふくろはぎが目に入った。
悲しくなっていく心を、慰める方法を誰か教えて欲しい。
それを知っていたら私はもっと優しい人間になれたはずだ。
そうじゃなければ、私が持っていて、優ちゃんにはないものは何か、教えて欲しい。
ほんの少しでも、自分に自信が持てることを誰かに教えてもらいたい。
優ちゃんに対抗できるものを探しながら、病院の廊下で給湯室から優ちゃんが出てくるのを待っていた。
お湯が沸くのを待っているのか、なかなか出てこない。