あやとり
直哉とはネットゲームがきっかけで知り合った。
十五歳のときに優ちゃんにおねだりをして、自分専用のノート型パソコンをプレゼントしてもらった。
インターネットに接続して最初に嵌ったのが、インターネットゲームの対戦型だった。ここには〈人〉がいる。
自分のプロフィールを入れられるようになっていて、自己紹介で自分自身のことを〈鬱〉と書いている人もいれば、日記を公開して学校や職場での人間関係や、親との愚痴などを書き綴っている人もたくさん居た。
実際の学校生活の中で、心許して付き合える友人が居なかった私には、このサイトの中で垣間見る人間関係が理想的にも思えた。
そうしてインターネットの初心者だった私は、馬鹿正直に本当の住所の市町村名と、自分の携帯電話のアドレスまで公開してしまったのだ。
たまたま私のプロフィールを見たという当時大学生だった直哉が、同じ地元ということで気になったと、私にメールをくれた。