あやとり
「俺、気になって東京に行けなくなるよ?」
優ちゃんは首を横に振る。
「警察に行けば、ハルトとのことも訊かれるかもしれない。ハルトのこと、そういう場所で話したくないの」
「話せばいいだろ」
「イヤなの」
甲斐君が唇を噛む。
そして、小刻みに頷きながら、男の傍に屈み、ロープを手に掴んだときだった。
「あれ?ドア開いたままですよ?」
直哉の声がした。
男がとっさに顔を伏せる。
直哉の視線が男の姿を捉える。
「ど、どうしたんですか?」
部屋の中の状況に直哉は目を見開いていた。