あやとり

「俺、気になって東京に行けなくなるよ?」

優ちゃんは首を横に振る。

「警察に行けば、ハルトとのことも訊かれるかもしれない。ハルトのこと、そういう場所で話したくないの」

「話せばいいだろ」

「イヤなの」

甲斐君が唇を噛む。

そして、小刻みに頷きながら、男の傍に屈み、ロープを手に掴んだときだった。

「あれ?ドア開いたままですよ?」

直哉の声がした。

男がとっさに顔を伏せる。

直哉の視線が男の姿を捉える。

「ど、どうしたんですか?」

部屋の中の状況に直哉は目を見開いていた。


< 148 / 212 >

この作品をシェア

pagetop