あやとり

「なんだ、いるじゃん」

「あ、ごめん、留守電、今聞いていたとこで……」

「なぁ、話したいことがあるんだけど、出てこれる?」

窓から入り込む陽射しが柔らかく私の髪を撫でてくれているように暖かかった。

甲斐君がこの町から居なくなってしまう前に、少しだけ自分を楽にしたいなという想いが過ぎった。

同時に「うん」と答えていた。

待ち合わせた場所は、学校帰りに一緒に歩いた川沿いにある小さな公園ですることになった。

向かいながら昨夜のことが思い出されて、悔やむ。

一度、声により音になって誰かの耳に届いてしまった言葉たちは、どんなに消し去りたくても消えてくれない。
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