あやとり
消えた天使
手術室の前で、祈るように優ちゃんが出てくるのを待っている。
もし、彼女がこのままいなくなってしまったら、私はこの先ずっと今日までの自分を引きずり罵って生きていくしかないだろう。
羨ましくて仕方がなかった優ちゃんが、今この状況にあることが信じられなかった。
どうか救ってください。
お願いだから助けて。
父と母が駆けつけてきた。
「雅!」母の声が響く。
「どういうことなの?なにがあったの?」
「わたしもよくわからないの。お腹を誰かに刺されたって聞いているけど」
「なんで優が刺されるのよ」
父が母の肩に手を置き、母を長椅子に座らせた。
「大丈夫よね、大丈夫よね」
呪文のように繰り返す母が退院したばかりのせいか、小さく見えた。