あやとり
「共立東総合病院。本当に来るの?」
「うん、行くよ。こっちにいても気になって何もできないだろうから。着いたら電話する」
彼は私なんかよりずっと大人だ。
悔しいけれどずっと大人なのだ。
再び手術室の前に行くと、両親の姿がなかった。
通りかけた看護師に訊いてみると、優ちゃんの手術は既に終わっていたらしい。
「ご両親は今、先生からのお話をお聞きになっていますよ」
私は優ちゃんの病室を教えてもらい、そこへ向かった。
個室の病室には、酸素マスクをつけたままの優ちゃんがいた。
まだ麻酔から醒めていないようで、静かに眠っていた。
ベッドの横の椅子に腰を下ろし、私は深いため息をひとつ吐き、そして優ちゃんの顔をじっと見つめた。
酸素マスクをしていても、絵になるような美しい寝顔を見つめながら、目頭が熱くなってくるのを押さえられない。
優ちゃんが生きていることに心の底から感謝した。