あやとり
ロビーに立っていた甲斐君は、少し緊張しているような表情だ。
「どういうことなんだ?」
「説明するね……」
私は今日、優ちゃんに起こったことを甲斐君にそのまま伝えた。
甲斐君は怒ったような顔で聞きながら、だんだんと首がうな垂れていった。
「……ちくしょう。犯人はあいつに決まっているじゃないか……だから、あの時……」
拳を握り締めて震わせ、俯いた顔から一つの雫が落ちた。
もういらないのに、私の瞳からもまた涙が溢れていた。