あやとり
本音と真相
入院経験の多い私だったが、新年を病室で迎えたのは今年が初めてだった。
私たち三人は、遠くに響いている除夜の鐘を聞きながら、窓の外に広がる夜空を見つめていた。
「あけまして、だね」
甲斐君が優ちゃんに微笑むと、彼女は小さく微笑んだ。
三人とも「おめでとう」というのを拒んでいるかのように、また窓の外に視線を戻す。
光を放つ星たちに、消えていった小さな命に冥福を祈り続けるように。
無理して起きていた優ちゃんが、吸い込まれるように眠りについた。
「甲斐君、そろそろ、ここには……」
居させてあげたいけれど、そういうわけにもいかない。
甲斐君も察してくれたのか、小さく頷いて、病室から出て行った。
私はなるべく音がしないようにブラインドを閉じた。