あやとり
あの夜、直哉が栗木を連れて帰った日以来、直哉は栗木の傍に居続け、様子に気を付けていた。
栗木は直哉に何度も詫び、心を入れ替えるとまで言ったらしい。
直哉の目にもそれが感じられてきた大晦日の日に、会社から呼び出しの掛かった直哉は、栗木を自分のアパートに残し、二時間だけアパートを空けた。
アパートに戻った時、栗木はその場に居なかった。
栗木のアパートまで行くと、彼は自分のアパートに戻っていた。
何を訊いても「この部屋にずっといた。もう大丈夫だから」といい続ける栗木を直哉は信じることにしたのだ。