あやとり
直哉の表情が曇り、そして苦笑いする。
「監視するような態度しちゃっていたんだろうな。きっと。それが栗木さんにとってショックだったんだろう」
「難しいね、人間の感情って」
「そうだな」
窓の外には雪が積もり始めていた。
優ちゃんのことを、女神とまで崇めるほどに想ってきた人の、想いの深さが生んでしまった悲しい出来事を、雪は白く包み隠して、解かしたいのもしれないと思った。
「直哉は、わたしのこと、どうするつもりだったの?」
直哉は驚いたような顔をして、私を見る。
「どうって、それは俺が決められる立場じゃないよ」
「わたしが居なくなっても平気?」
「平気なわけ……ないだろ」
いつの間にか、泣き顔になっている私を見て、直哉は苦笑している。