あやとり
優ちゃんの病室に戻ると、母は病室には居なかった。
「みぃちゃん」
「もうみぃちゃんて呼ばないでよね」
優ちゃんは苦笑した。
「わかってはいるんだけどね、もう、ちっちゃなみぃちゃんじゃないんだってね。でも、雅って呼んでもさ、心の中では〈みぃちゃん〉って呼んじゃっているんだよね」
私はぎこちなく笑った。
「実は、わたしも心の中ではいつも〈優ちゃん〉って呼んでる」
「なんだ、おんなじじゃない」
優ちゃんはクスクスと笑った。