あやとり
二人姉妹の名前を「優雅」という言葉から安易に決めてしまった両親は、「優」と名付けられた姉の出来の良さに酔いしれて、「雅」と名付けられた妹に長女の自慢話をするのが好きだった。

他人様に我が子の自慢話を言えば、角が立ってしまうと思うのか、同じ娘の妹に姉の自慢話をする始末。

姉の『ゆうちゃん』は文字通り優しくて優秀だ。

じゃあ、妹の『みいちゃん』は?

文字通りなんと言ってくれるのだろう。

この字に関して言ってくれたことはなかったし、自分は雅なところなんてひとつも持ち合わせていないように感じていた。

妹には常に姉という高いハードルが用意されていて、それを超えない限り親を満足させられないようなプレッシャーが無意識のうちに掛かってくる。

超えられない現実に気付いたとき、同じ姉妹でも角が立つということに両親は未だに気付いてないのだ。


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