あやとり
直哉から聞いた栗木の話をすると、優ちゃんは目を閉じて聞いていた。
「思い出したのよ。確か、私が四年のときに入ってきた人。あの頃、大学生の私はね、ちょっと、うんん、ちょっとどころじゃないかもね、自分で言うのも変だけれど、天狗になっていたと思う」
「天狗になっても仕方ないくらい、優ちゃんは綺麗だよ」
こういう言葉が素直に言えたことに自分でも少し驚いた。
でも、いつもそう思っていたし、そのことがコンプレックスにもなっていた自分がいつも居たことを今は正直に認められる。
「でも、その時のわたしがこういうことを招いてしまった」