あやとり
「君のお父さんからも聞いたよ」
「そうですか。父には一昨日、話したばかりなんですが」
それは思わぬ展開だった。
優ちゃんの顔を見ると、彼女はさらに鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。
「相手が未成年だと、責められるのはむしろお前のほうだぞ、優」
事の成り行きを十分に把握できないままにも、優ちゃんは頷いている。
「大丈夫です。僕の父も母と出逢ったのは高校生のときです」
誇らしいように甲斐君が言う。
甲斐君が〈僕〉というのを初めて耳にしたような気がする。
それが可笑しいような、頼もしいような感じだ。