あやとり
その夜、八時頃に直哉が帰った後、自分の部屋に入ろうとしたら、父に呼び止められた。
「雅、ちょっと話があるから下にきなさい」
リビングのソファーに座るように言われ、腰を下ろす。
「雅も、もうそろそろ進路が決めなきゃならんだろう?」
そろそろ来る話だと思っていたので驚きはしなかった。
以前から用意していた言葉を予定通り言うことにした。
「S女子短大に行きたいと思っているんだけれど」
「そうか……」
この短大なら地元だし、両親から反対される理由などないと思った。
今の学力でも問題なく入れるはずだ。