あやとり

両親にとって、優ちゃんという自慢出来る存在の娘を失ったことは相当の痛手だったらしい。

優ちゃん自身はちゃんと存在しているのに、自分たちの理想のレールから脱線してしまったのが耐えられない様子だ。

しかもそれは脱線というようなものとも言い難い。

婚約破棄に優ちゃんの落ち度があったとは、私には思えないのだ。

優ちゃんのせいではない。

でも、今、私にこういう状況をもたらしたのは、優ちゃんのせいに思えてくる。



病室で見送った母の帰っていく背中が、心のブラックホールにぼんやりと浮かび上がってくるようだ。

退院してみたら、私の部屋がない。

そんな夢が幾度も繰り返された日々が、記憶の回線にいつまでも不安に包まれた光を放っている。

私は両親に嫌われたくないから、いつも何も言い返せなくなってしまう。



優ちゃんに助けてもらわなきゃ……。

明日にでも、優ちゃんのアパートに行って、この事態を言わなければ。



優ちゃんのせいにしながらも、この状況を変えることが出来るのは優ちゃんだけだと、心の奥底で呟く私がいた。

今の私に自分の力で何とか出来るはずもない。



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